馬頭観音
ばとうかんのん
(ハヤグリーヴァ)
柔和で女性的な雰囲気の強い観音グループにあって、一尊だけ異端的に恐ろしい形相をした馬頭観音。その起源は、ヒンドゥー教の維持と豊穣の神ヴィシュヌと密接な関係があったと言われています。憤怒の姿から明王部に分類されることもあります。六道の「畜生道」の衆生を救う六観音のひとつです。
頂上に馬頭(ハヤグリーヴァ)を戴く三面三つ目八臂(三つの顔、第三眼、八本の腕)の観音さまです。
仏教において、衆生がその業の結果として輪廻転生する6種の世界を六道(ろくどう)といいます。その六道の世界から人々を救うための6人の観音様を六観音といいます。真言宗では聖観音は「地獄道」、千手観音は「餓鬼道」、馬頭観音は「畜生道」、十一面観音は「阿修羅道」、准胝観音は「人道」、如意輪観音は「天道」の衆生を救うとされています。(天台宗では、「人道」の担当を不空羂索観音としています)
■サイズ(縦×横):外寸335×250mm(絵300×220)
■生産国:ネパール
※タンカのみの販売です。額はついていません。
<タンカの製作者について>
このタンカの製作者はヴィジェイラマ(Vijay Lama)さん。1974年にチベットで生まれる。
ラマとはチベットの僧侶のことです。幼い頃に家族とともに亡命、ダライ・ラマ14世をいただく、
チベット亡命政府のある、インド北部ダラムサラで育ち、16歳からダラムサラで伝統的なタンカ画法を学び、
その後ネパールに行き仏画師となりました。
繊細な技術、独特な色使い、洗練された伝統を継承したチベット人仏画師です。
※このタンカは彩雲がヴィジェイラマさんに依頼し、新しく製作したオリジナルのタンカです。
如来や菩薩を描いた仏画はチベットネパールの伝統美術で『タンカ(Thanka)』と呼ばれます。
熟練したタンカ絵師が長い時間をかけて丁寧に描いています。
絵具は鉱物性顔料(※1)と合成顔料のポスターカラーを使っています。
また金の発色は24金から作られた金泥(※2)が使われています。
※1鉱物性顔料―天然鉱石を砕いて作られた絵具。
天然ものなので他の色味をもつ鉱物が若干混ざっており、そのため独特な色合いと深みを持っています。
日本では日本画の画材「岩絵の具」と呼ばれ、古くは古墳時代の遺跡にも見られます。
代表的な色と鉱石は、青−琉璃(ラピスラズリ)、緑−孔雀石(マラカイト)、赤−辰砂(シンナバー)など。
※2金泥(きんでい)―純金の粉を膠(にかわ)の液で泥のように溶かしたもの
タンカの価格は、緻密さや全体のバランスなど絵師の熟練度によっても決まりますが、
一般的に、高価なタンカはより多くの鉱物性顔料と、24金から作られた金泥が使われています。