勝楽尊(布額装)
しょうらくそん
(チャクラサンヴァラ)
小さいサイズのタンカ。布の額に縫い付けています。前面には絵を保護するための黄色い布も付いています。
《勝楽尊》ネワール仏教では最も重要なタントラの神の一つ。一族の寺院の主神として、アゴンと呼ばれる秘儀場に納められ、一族以外は見ることができないといわれます。
チャクラサンヴァラは女神崇拝の影響を強く受けており、ほとんどの場合妃を抱いた姿で表現されます。四面十二臂の姿をとり、体は青色で、四面は青、黄、赤、緑の四面。中央で交叉した手には金剛杵と金剛鈴を持ち、その他象の生皮、三叉戟、ダマル太鼓、ブラフマン神の首、頭蓋骨杯などを持ち、頭に太陽と三日月をつけ、虎の褌を身に着けるなど、シヴァ神の特徴を取り入れています。
一方で、左足でシヴァ神の化身であるバイラヴァを踏みつけ、右足ではシヴァ神の妃であるパールヴァティの化身のカーララトゥリを踏みつけることによって、仏教の優越性を表現しています。
赤色の妃はヴァジュラヴァーラヒー(金剛亥母)です。左手をチャクラサンヴァラの首にまわし、右手に剪刀を持っています。
※ネパールで描かれるタンカは2種類あります。
チベット密教を信仰する仏教徒が描くチベットタンカと、ネパール人のネワール族が描くネワールタンカです。ネワール族はネパールのカトマンドゥに多く住む人々で、もともとは仏教徒でしたが、ヒンドゥー教の影響を強く受け、ヒンドゥー教と仏教が混在した独特な仏教美術を生み出しました。
■タンカのサイズ(縦×横):絵205×150mm
■布額のサイズ(縦×横):620×380mm
■生産国:ネパール
※布の額は多少のほつれ、ゆがみがあります。ご了承の上お買い求め頂きますようお願いいたします。
<タンカの製作者について>
このタンカの製作者はヴィジェイラマ(Vijay Lama)さん。1974年にチベットで生まれる。
ラマとはチベットの僧侶のことです。幼い頃に家族とともに亡命、ダライ・ラマ14世をいただく、
チベット亡命政府のある、インド北部ダラムサラで育ち、16歳からダラムサラで伝統的なタンカ画法を学び、
その後ネパールに行き仏画師となりました。
繊細な技術、独特な色使い、洗練された伝統を継承したチベット人仏画師です。
※このタンカは彩雲がヴィジェイラマさんに依頼し、新しく製作したオリジナルのタンカです。
如来や菩薩を描いた仏画はチベットネパールの伝統美術で『タンカ(Thanka)』と呼ばれます。
熟練したタンカ絵師が長い時間をかけて丁寧に描いています。
絵具は鉱物性顔料(※1)と合成顔料のポスターカラーを使っています。
また金の発色は24金から作られた金泥(※2)が使われています。
※1鉱物性顔料―天然鉱石を砕いて作られた絵具。
天然ものなので他の色味をもつ鉱物が若干混ざっており、そのため独特な色合いと深みを持っています。
日本では日本画の画材「岩絵の具」と呼ばれ、古くは古墳時代の遺跡にも見られます。
代表的な色と鉱石は、青−琉璃(ラピスラズリ)、緑−孔雀石(マラカイト)、赤−辰砂(シンナバー)など。
※2金泥(きんでい)―純金の粉を膠(にかわ)の液で泥のように溶かしたもの
タンカの価格は、緻密さや全体のバランスなど絵師の熟練度によっても決まりますが、
一般的に、高価なタンカはより多くの鉱物性顔料と、24金から作られた金泥が使われています。