孔雀明王
くじゃくみょうおう
(マハー・マーユーリー)
※このタンカは、すべて24金から作られた金泥で描かれています。
明王は基本的に恐ろしい憤怒形(ふんぬぎょう)ですが、この孔雀明王は穏やかで優しい顔をした菩薩形(ぼさつぎょう)であらわされます。ただ、心の内は夜叉のように恐ろしいとも言われる明王です。
孔雀は見かけは優美ですが、その実はコブラなどの毒蛇を好んで食べる猛禽だからです。
しかし孔雀は、吉祥鳥とも言われ、陀羅尼を唱えると請雨(しょうう)・延命・出産の大安楽が得られるとも説かれています。陀羅尼とは梵語(ぼんご)の発音のまま唱える長い呪文のことです。
古代インドでは孔雀が毒蛇を食べることから神格化されたのが信仰のはじまり。蛇の毒を浄化することから、煩悩の浄化へとつながっています。姿は美しい孔雀の背に乗り、手にしているものも明王のように武器ではなく、蓮華、法輪、魔除けの果実である吉祥果(ザクロ)、そして名前のとおり孔雀の羽を持っています。
■サイズ(縦×横):外寸455×320mm(絵400×265)
■生産国:ネパール
※タンカのみの販売です。額はついていません。
※金の光輝性の顔料で描いた孔雀明王はこちらから
金泥で描いたものと金の顔料で描いたものとの違いは、金泥は細い線を描くことができ、金は渋く輝くきます。金の顔料は、金泥ほど細く線は描けませんが、金は明るく輝きます。
<タンカの製作者について>
このタンカの製作者はネパールのラメチャップ出身のラマ ギャンデンさん。1991年生まれ。
※このタンカは彩雲がラマ ギャンデンさんに依頼し、新しく製作したオリジナルのタンカです。
如来や菩薩を描いた仏画はチベットネパールの伝統美術で『タンカ(Thanka)』と呼ばれます。
熟練したタンカ絵師が長い時間をかけて丁寧に描いています。
絵具は鉱物性顔料(※1)と合成顔料のポスターカラーを使っています。
また金の発色は24金から作られた金泥(※2)が使われています。
※1鉱物性顔料―天然鉱石を砕いて作られた絵具。
天然ものなので他の色味をもつ鉱物が若干混ざっており、そのため独特な色合いと深みを持っています。
日本では日本画の画材「岩絵の具」と呼ばれ、古くは古墳時代の遺跡にも見られます。
代表的な色と鉱石は、青−琉璃(ラピスラズリ)、緑−孔雀石(マラカイト)、赤−辰砂(シンナバー)など。
※2金泥(きんでい)―純金の粉を膠(にかわ)の液で泥のように溶かしたもの
タンカの価格は、緻密さや全体のバランスなど絵師の熟練度によっても決まりますが、
一般的に、高価なタンカはより多くの鉱物性顔料と、24金から作られた金泥が使われています。