軍荼利明王
ぐんだりみょうおう
(クンダリー)
軍荼利明王は密教の五大明王の一尊で南方に配されます。梵名のクンダリーは「とぐろを巻くもの」という意味です。
宝生如来(ほうしょうにょらい)の教令輪身(きょうりょうりんじん)として阿修羅や夜叉などの外敵から人々を守り、あまねく障害を取り払います。教令輪身とは如来が導き難い相手に対して忿怒尊の姿をとることをいいます。クンダリーという名の通り、首や手首、足などに蛇がまとわりついています。この蛇は生命エネルギーのシンボルであるとともに煩悩の象徴とされており、そのままでは人々に災いをもたらす存在ですが、軍荼利明王の力で装身具に変化させられました。これは害にしかならない煩悩が役に立つものに変化すると言うことを示しています。
頭に髑髏(どくろ)を冠し、一つの顔、三つの目、八本の腕を持ち(一面三目八臂)、左右の第一手は胸前で交差させる軍荼利印を結び、右足は空中を踏む丁子立(ちょうじたち)、左足は踏割蓮華座(ふみわありれんげざ)を踏んでいます。
五大明王とは五大尊,五忿怒ともいい、真言密教で不動明王を中心として四方に配され、魔を降伏させる5明王です。中央が不動明王、東方が降三世明王、南方が軍荼利明王、西方が大威徳明王、北方が金剛夜叉明王で、いずれも忿怒の形相をしています。(天台密教では金剛夜叉明王にかえて烏枢沙摩(うすさま)明王となります)
軍荼利明王の真言は
「オン・アミリティ・ウン・パッタ」
■サイズ(縦×横):外寸335×250mm(絵300×220)
■生産国:ネパール
※タンカのみの販売です。額はついていません。
<タンカの製作者について>
このタンカの製作者はヴィジェイラマ(Vijay Lama)さん。1974年にチベットで生まれる。
ラマとはチベットの僧侶のことです。幼い頃に家族とともに亡命、ダライ・ラマ14世をいただく、
チベット亡命政府のある、インド北部ダラムサラで育ち、16歳からダラムサラで伝統的なタンカ画法を学び、
その後ネパールに行き仏画師となりました。
繊細な技術、独特な色使い、洗練された伝統を継承したチベット人仏画師です。
※このタンカは彩雲がヴィジェイラマさんに依頼し、新しく製作したオリジナルのタンカです。
如来や菩薩を描いた仏画はチベットネパールの伝統美術で『タンカ(Thanka)』と呼ばれます。
熟練したタンカ絵師が長い時間をかけて丁寧に描いています。
絵具は鉱物性顔料(※1)と合成顔料のポスターカラーを使っています。
また金の発色は24金から作られた金泥(※2)が使われています。
※1鉱物性顔料―天然鉱石を砕いて作られた絵具。
天然ものなので他の色味をもつ鉱物が若干混ざっており、そのため独特な色合いと深みを持っています。
日本では日本画の画材「岩絵の具」と呼ばれ、古くは古墳時代の遺跡にも見られます。
代表的な色と鉱石は、青−琉璃(ラピスラズリ)、緑−孔雀石(マラカイト)、赤−辰砂(シンナバー)など。
※2金泥(きんでい)―純金の粉を膠(にかわ)の液で泥のように溶かしたもの
タンカの価格は、緻密さや全体のバランスなど絵師の熟練度によっても決まりますが、
一般的に、高価なタンカはより多くの鉱物性顔料と、24金から作られた金泥が使われています。