愛染明王
あいぜんみょうおう
(ラーガ・ラージャ)
愛欲とその裏返しである怨憎の両方を整えて、人々を悟りの心へと導く愛染明王。愛欲貪染(あいよくどんぜん)をそのまま菩提心に変える力を持つ煩悩即菩提を象徴した明王です。人間のさまざまな欲望は悟りへのエネルギーへと転換できるというのが愛染明王の教えです。
赤い体の憤怒相で一面三目六臂。獅子頭の付いた冠を冠り、弓、矢、金剛杵、金剛鈴、蓮華を持ち、密教の儀式の際に用いる灌頂(かんじょう)の水を入れる宝瓶(ほうびょう)に咲く蓮華座の上に座っています。
愛の字が示すとおり「恋愛・縁結び・家庭円満」などの願いを叶える仏として古くから信仰され、「愛染=藍染」と解釈した染物・織物職人の守護神にもなりました。
■サイズ(縦×横):外寸335×250mm(絵300×220)
■生産国:ネパール
※タンカのみの販売です。額はついていません。
<タンカの製作者について>
このタンカの製作者はヴィジェイラマ(Vijay Lama)さん。1974年にチベットで生まれる。
ラマとはチベットの僧侶のことです。幼い頃に家族とともに亡命、ダライ・ラマ14世をいただく、
チベット亡命政府のある、インド北部ダラムサラで育ち、16歳からダラムサラで伝統的なタンカ画法を学び、
その後ネパールに行き仏画師となりました。
繊細な技術、独特な色使い、洗練された伝統を継承したチベット人仏画師です。
※このタンカは彩雲がヴィジェイラマさんに依頼し、新しく製作したオリジナルのタンカです。
如来や菩薩を描いた仏画はチベットネパールの伝統美術で『タンカ(Thanka)』と呼ばれます。
熟練したタンカ絵師が長い時間をかけて丁寧に描いています。
絵具は鉱物性顔料(※1)と合成顔料のポスターカラーを使っています。
また金の発色は24金から作られた金泥(※2)が使われています。
※1鉱物性顔料―天然鉱石を砕いて作られた絵具。
天然ものなので他の色味をもつ鉱物が若干混ざっており、そのため独特な色合いと深みを持っています。
日本では日本画の画材「岩絵の具」と呼ばれ、古くは古墳時代の遺跡にも見られます。
代表的な色と鉱石は、青−琉璃(ラピスラズリ)、緑−孔雀石(マラカイト)、赤−辰砂(シンナバー)など。
※2金泥(きんでい)―純金の粉を膠(にかわ)の液で泥のように溶かしたもの
タンカの価格は、緻密さや全体のバランスなど絵師の熟練度によっても決まりますが、
一般的に、高価なタンカはより多くの鉱物性顔料と、24金から作られた金泥が使われています。